story

chapter1-6 永遠の夏休み

  • 2020.08.04

 カスケは精神を安定させるだけで精一杯だった。全てが上手くいかない。言葉も出ないほど焦燥しきっているが顔には出さず人に会う時は笑顔を心がける。そんな風に偽りの自分を演じているうちにますます精神はおかしくなり、もしかしたら鬱病なのかもしれないと思うほどだ。それでも人に会うことは好きで、むしろ一人でいる方が辛くなる。逃げることで解決することもあるだろうが、逃げたところで解決できないことの方が多い気もす […]

chapter1-5 世界政府

  • 2020.08.03

 この世界には一切の武器がない。  と言ってもナイフや刀、弓などの原始的な武器は存在する。世界政府が製造を禁止している武器はピストルなどの機械的構造の武器類だ。機関銃、ライフル銃、ミサイル、戦車、戦闘機、そして核兵器も製造禁止だ。それらの武器が地球上に存在しないので、大規模な戦争は起こり得ないことに、一応はなる。攻撃するにも防御するにも武器が必要だが、そもそも武器がなければ攻撃はできないし防御する […]

chapter1-4 キースヘリングとバスキア

  • 2020.07.31

 カスケがアートに興味を持つようになったのはキースヘリングとバスキアのせいだ。彼らの落書きのような作品に自由を感じたのと同時に自分にもできるんじゃないかという可能性を感じたのだ。若者は「自由」とか「可能性」とかそういう言葉に弱い。すぐ腹が減るのも、思考の50パーセントは異性のことなのも若者だからだ。  1980年代後半、カスケは「ポップ」という言葉にやられていた。その言葉の意味を「軽くて不完全なま […]

chapter1-3 天皇

  • 2020.07.23

※天皇制 天皇制についてはちょっと悩む。西暦2253年の時点で天皇制はどうなっているのだろう?国と制度はなくなっている設定だから、日本国憲法第一条はなくなっているのだが、天皇はなくなってほしくない。よってこのストーリーでは存続させることにする。ジョンレノンは、宗教のない世界を想像しなよ、って歌ったけど、宗教は2253年にも存在することにする。(記述2014/04) ※第9条 第9条について、ここで […]

chapter1-2 ジュース

  • 2020.07.21

 フィジーの首都スバから東京に戻る途中トランジットでオーストラリアのシドニーに10時間だけ滞在した。初めてのシドニーの街を散歩した感想は「白人の街」だ。重厚な石造りの外壁の建築物が並ぶ街並みは、洗練されてはいるが西欧の文化以外は全く寄せつけない冷たさを感じる。  日本人は日本やアジア圏にいると感じることはできないが、そこから抜けると否応なしにこの世の中で自分がマイノリティーで被差別の対象であると認 […]

chapter1-1 カスケ

  • 2020.06.24

 屍を越えて〜という言葉があるけど、超えてだよね、カスケ。そうやって超えて進むカスケ。「声」って叫んでも大抵聞こえない。だから「怖〜」って叫びながらも暗闇を模索しながら走った。カスケは知った。そこから先は行き止まりだ。木戸まで来て行き止まり。いつものことだ。驚きもしない。いつものように壊すだけ。  カスケは頭がドンドンおかしくなってきた。それは寂しさに起因する、間違いなく。頭がオカシクないから今置 […]